体臭で分かる病気:糖尿病・肝臓・腎臓が発する独特のニオイとは | においの教科書

あなたは、こんな経験はありませんか?

  • なんとなく自分の体から「いつもと違うニオイ」がする
  • 職場で「疲れてる?」と言われた
  • ケアしているのに、体臭が戻らない

ニオイは、体の状態を映す”サイン”でもあります。

今日も、においの世界を20年以上研究してきた”ニオイ博士”こと匂崎博士と、読者の疑問を代弁する助手・スメル君が、体臭と健康の深い関係をわかりやすく解き明かします。

スメル君
🍃 スメル君
博士〜!体の状態でニオイが変わるって本当ですか?最近SNSでも”病気のニオイ”って話題で…。本当にそんなことあるんです?
匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
ふむ、良い質問だね。結論から言えば——体臭は健康状態を反映する”バイオマーカー”と考えられているよ。

医学的に知られている3つの病気とニオイ

匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
特に医学的に知られているのは次の3つです。

① 糖尿病:甘酸っぱい”ケトン臭”

糖尿病と体臭の関係

  • 血糖利用ができず脂肪が大量に分解される
  • その結果「アセトン(ケトン体)」が増え、甘い果実のようなニオイ
  • 口臭・汗・尿から感じられることがある

科学的根拠

海外の研究でも、アセトン濃度は糖尿病の指標として有効と報告されています(Diabetes Technology & Therapeutics誌 2014)。

② 肝臓:生臭さ・甘さの混ざる”肝性臭(Fetor Hepaticus)”

肝臓と体臭の関係

  • 肝臓が解毒できなくなると「揮発性硫黄化合物」が上昇
  • その結果、“甘い・生臭い・腐ったような複雑なニオイ”を放つことがある
  • 医学では「肝性脳症」のサインとして知られる

科学的根拠

PubMedでも“Dimethyl sulfideの上昇が肝性臭の主因”と結論づけられています。

③ 腎臓:アンモニア・鉄のような”尿毒症臭”

腎臓と体臭の関係

  • 腎臓が濾過できなくなると、尿素・アンモニアが体表から排出される
  • 結果として金属・アンモニアのような強い刺激臭
  • 皮膚から尿のようなニオイを感じるケースもある

科学的根拠

腎機能低下患者では、皮膚ガス中のアンモニア濃度が有意に高いと多くの研究で示されています。

匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
これらは”病気の診断”ではないけど、体が発するSOSサインとして昔から医学で注目されているんだ。
スメル君
🍃 スメル君
体からのサインなんですね…!

病気特有のニオイの科学的メカニズム

医学的根拠のある”ニオイ”の正体

博士が説明した”病気特有のニオイ”は、実際に医学的根拠があります。

  • 糖尿病:呼気アセトン濃度の上昇
  • 肝臓:Dimethyl sulfide の増加
  • 腎臓:皮膚ガス中アンモニア濃度の増加

これらは海外の臨床研究で繰り返し報告されており、「ニオイによる非侵襲型診断」にも応用されつつあります。

こういうニオイがしたらどうすればいい?

スメル君
🍃 スメル君
博士、もしこういうニオイがしたらどうすればいいんです?病院に行った方がいいの?それとも生活習慣を改善すれば変わるんですか?
匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
もちろんだよスメル君。まず大事なのは”ニオイの原因を正しく理解すること”だね。その上で、できる対策を紹介しよう。

① 糖尿病が心配な場合

こんな時は医療機関へ

過度な甘いニオイが続く場合は医療機関で血糖チェックを。

生活習慣でのケア

  • 炭水化物の摂り過ぎを控える
  • 運動習慣を取り入れる
  • 水分不足もケトン臭を強めるためこまめに水を

※海外の呼気分析研究でも、運動・食事・水分がアセトン濃度に影響するとされています。

② 肝臓が心配な場合

こんな症状があれば早めに受診

  • お酒の飲み過ぎが続いている
  • 倦怠感・黄疸・食欲不振がある

こうした症状+ニオイが重なれば、早めに医療機関へ。

ケアのポイント

  • アルコール量を控える
  • サプリよりも”食事”で肝臓を休ませる
  • 睡眠をしっかりとる

③ 腎臓が心配な場合

こんなサインがあれば受診を

  • むくみ
  • 倦怠感
  • 尿の異常

ケアポイント

  • 水分摂取のリズムを一定に
  • しょっぱい食事を控える(腎負担が減る)
  • 過度なプロテイン摂取は控えめに
匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
そしてスメル君、ニオイは”絶対に病気”ではなく、生活習慣の乱れで一時的に変わることも多いんだ。だから怖がりすぎず、”変だな?”と思ったら生活を見つめ直してみるといいよ。

体臭は体からのメッセージ

体臭が映し出すもの

つまり——体臭は単なる”ニオイ”ではなく、体の内側の変化を映すメッセージでもあります。

  • 糖質代謝
  • 肝臓の解毒
  • 腎臓のろ過機能

これらが崩れると「特有の揮発性化合物」が増え、ニオイとして表に出ます。

大切なのは、
“ニオイ=体質”と決めつけないこと

ニオイは生活習慣で大きく変わる”動く指標”なのです

匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
ニオイはね、体からの小さな手紙みたいなもの。正しい知識があれば必ず読み解けるよ。焦らず、一緒に少しずつケアしていこう。
スメル君
🍃 スメル君
博士、ありがとうございました!体からのメッセージ、しっかり受け取ります!

次に読むと理解が深まる記事

匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
これまで様々な体臭の科学を学んできました。体臭は決して恥ずかしいものではなく、体の声なのです。

📚 参考文献・引用データ

この記事の執筆にあたり、以下の科学的知見を参照しております。

🍬 糖尿病(ケトン臭・アセトン)

Anderson, J. C., et al. (2014). “Breath acetone as a measure of systemic ketosis”. Diabetes Technology & Therapeutics.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25068866/

🏥 肝臓(肝性臭・Dimethyl sulfide)

Dadamouny, M., et al. (2019). “Dimethyl sulfide as a biomarker for liver cirrhosis”. Journal of Breath Research.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31283672/

💧 腎臓(アンモニア・尿毒症臭)

Nishida, J., et al. (2002). “Ammonia emission from skin as a noninvasive marker of hemodialysis efficacy”.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11927128/