あなたは、自分のニオイが気になった瞬間がありますか?
- 満員電車でふと腕を上げた時
- 夕方になると何となく気になってくる自分の体
- 「もしかしてこれ、自分のニオイ…?」と不安になる瞬間
誰にでもあることです。しかし、その裏には知られていない”科学の仕組み”があります。
今日は匂崎博士が「においとは何か?」という核心について語ります。
においの正体とは何か?
「自分がにおっているかどうか」「どんなニオイなのか」「強いのか弱いのか」
これらすべては、多層的な要因によって決まる
においを決める要因
- 分子の種類
- 分子の量
- その日の空気
- 室内環境
- 身体の状態
においを生むのは「汗 × 皮脂 × 常在菌 × 生活習慣」
匂崎博士の方程式
汗そのものはほぼ無臭
汗は99%が水。残りはナトリウムやカリウムなどの電解質。これらには強いニオイはありません。
だから、汗をかいた瞬間にニオうわけではないのです。
ニオイの正体は”常在菌の働き”
皮膚には1兆を超える菌が存在します。表皮ブドウ球菌、アクネ菌、コリネバクテリウム属など、多様な”肌の住人”です。
彼らは汗や皮脂を”食べる”。その結果、以下のような物質をつくる:
- 脂肪酸(酸っぱいニオイ)
- アンモニア(ツンとするニオイ)
- 有機酸(蒸れたようなニオイ)
ニオイは「汗そのもの」ではなく
汗が皮膚で”変化した結果”
生活習慣は「香りの脚本」
においは、身体だけではなく”生活そのもの”が反映されます。
- 食事
- 睡眠
- ストレス
- 運動
- 通気性の悪い服
- 湿度・気温
これらが毎日変動するため、あなたのにおいも毎日変わるのです。
なぜ人は自分のニオイに気づきにくいのか
嗅覚の順応の例
- 自分の家の匂いが分からない
- 自分の香水の香りが徐々に分からなくなる
- 自分の汗のニオイが気づきにくい
これはすべて「脳が慣れてしまう」ため。
自分のニオイが分からないのは正常
あなたに問題があるわけではない
ニオイは”日によって変わる”理由
① 食事は体臭を直接作る”燃料”になる
ニオイやすい食事
- 脂質の多い食事
- にんにく/玉ねぎ
- アルコール
- 高糖質
- 肉中心の食生活
これらは皮脂の酸化を促進し、ニオイ物質が増えます。
逆に、野菜や水分摂取が多い日は匂いが穏やかになります。
② ストレスは一瞬で汗の成分を変える
ストレス汗の特徴
緊張すると、アポクリン腺・エクリン腺の出す汗の”質”が変わります。
- 粘度が高い
- 蛋白質や脂質が多い
- 常在菌が好むエサになる
その結果、ニオイやすくなります。
③ 睡眠不足は菌バランスを乱す
睡眠不足の影響
肌の常在菌は”安定した環境”を好みます。しかし睡眠不足になると:
- 皮脂分泌が乱れ
- 肌の水分量が減り
- バリア機能が崩れ
- 菌バランスに偏りが生じる
結果として、ニオイが強くなることがあります。
④ 天候・湿度・服の素材は”環境の香り因子”
注意が必要な環境
湿度が高い日は、汗が乾きにくくなり、常在菌の活動が加速します。
通気性の悪い服は”菌の温室”になり、蒸れによってニオイ物質が増えます。
- ポリエステル100%のインナー
- 密着系のスポーツウェア
- 長時間同じ姿勢での作業
これらはニオイの発生環境を作ります。
ニオイは”変えられる”。正しい知識はあなたを救う
においは変えられる
- 食事
- 睡眠
- ストレスケア
- 衣類の選び方
- 入浴と洗浄習慣
- 拭き取りなどの応急ケア
少しの工夫で、大きく変わります。
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📚 参考文献・引用データ
この記事の執筆にあたり、以下の科学的知見を参照しております。
🔬 皮膚マイクロバイオームについて
Grice, E. A., & Segre, J. A. (2011). “The skin microbiome”. Nature Reviews Microbiology, 9(4), 244-253.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21407241/Byrd, A. L., Belkaid, Y., & Segre, J. A. (2018). “The human skin microbiome”. Nature Reviews Microbiology, 16(3), 143-155.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29332945/💧 生活習慣と皮膚マイクロバイオーム
Sfriso, R., et al. (2020). “Revealing the secret life of skin – with the microbiome you never walk alone”. International Journal of Cosmetic Science, 42(2), 116-126.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7998121/👃 嗅覚のメカニズム
公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)「嗅覚の仕組み」
https://www.aromakankyo.or.jp/basics/introduction/mechanism/