唾液分泌を増やす方法:自律神経・食事・生活習慣の医学的アプローチ | においの教科書

私たちの口の健康は、唾液の量と質に大きく左右されます。

唾液は食事や会話、そして口腔内環境の維持に不可欠な“天然の潤滑液”であり、唾液が減るとドライマウスや口臭、虫歯、舌の違和感などのトラブルにつながりやすくなります。

しかし、「唾液分泌を増やす」方法は、ただ歯磨きやうがいを頑張るだけではありません。自律神経の整え方、食事・水分習慣、咀嚼(噛む習慣)など、生活全体を見直すことで改善するという研究も少なくありません。

今日は、においの教科書管理人匂崎博士スメル君が、「唾液を自然に増やす方法」を、科学的根拠に基づいて整理して紹介します。

スメル君
🍃 スメル君
博士〜!唾液って、”もっと出るようになる方法”があるんですか?ただ水飲んだり歯磨いたりするだけじゃない⁉︎

唾液分泌は自律神経がコントロールしている

匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
いい質問だ、スメル君。まず大前提として、唾液分泌は自律神経(特に副交感神経)によってコントロールされているんだ。

唾液分泌のメカニズム

唾液腺は副交感神経の支配を受けており、リラックスした状態で分泌が促進されます。逆に、ストレスや緊張(交感神経優位)では分泌が抑制されやすくなります。

だから、自律神経のバランスを整えることが“唾液を増やす第一歩”になるのです。

匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
では、具体的な方法と根拠を見てみよう。

唾液を増やす5つの方法

方法1:咀嚼・ガムを噛む

✅ 方法1

噛むことで唾液腺を刺激

仕組み:咀嚼(噛む)や味覚による刺激が、唾液腺を活性化 → 分泌量アップ

🧪 研究データ
  • • 無糖ガムを噛むことで、安静時唾液流量が上昇することが報告されています。特に唾液分泌が元から少なめの人で効果が顕著。
  • • 噛み続けることで唾液のpHや緩衝能(虫歯・口腔環境維持に重要)も改善するとの結果があります。
  • • 高齢者やドライマウスの人では、定期的なガム使用が唾液量改善につながるとの報告があります。

参考:BMC Oral Health (2023)

👉 実践ポイント

日常的に「無糖ガムを数分噛む習慣」は、唾液を自然に増やす有効手段です。

方法2:水分補給・水をよく飲む

✅ 方法2

唾液の原料は水分

仕組み:唾液は水分が必要。水分摂取が少ないと唾液腺の分泌も抑制されやすくなります。

🧪 医療機関の推奨

少量ずつでもこまめに水やノンカフェインの飲み物を飲む、食事中に水を含む、乾燥を防ぐ — これらがドライマウス対策の基本とされています。

参考:Johns Hopkins Sjögren’s Center

👉 実践ポイント

特に乾燥が強くなる「冬」「寝起き」「長時間会話後」などでは、意識的な水分補給が効果的です。

方法3:自律神経を整える

✅ 方法3

ストレス・緊張を減らす/リラックス

背景:唾液腺は副交感神経支配。ストレスや交感神経優位の状態が続くと分泌が抑えられることが報告されています。

🧪 研究知見

動物実験では、長期の交感神経刺激(ストレス状態)が唾液分泌を抑える機序が確かめられています。

参考:科学研究費補助金研究成果報告書

👉 実践ポイント

日常的に「深呼吸」「ゆったり食事」「笑顔」「軽い運動」「よく眠る」などで副交感神経を優位にする工夫が、唾液分泌の改善につながる可能性があります。

方法4:口腔を定期的に使う

✅ 方法4

会話・咀嚼・うがい・舌運動

理論:唾液腺は”使うことで反応する器官”。定期的な刺激が唾液腺を活性化します。

🧪 臨床報告

ドライマウス外来などでは、「経口摂取(食事・会話)を続けること」が唾液分泌改善に役立つという報告があります。

参考:日本静脈経腸栄養学会雑誌

👉 実践ポイント

食事をしっかり噛む、会話・発声を増やす、定期的なうがいや舌の運動 — “口を使う習慣”が唾液分泌を健康に保ちます。

方法5:生活習慣の改善

✅ 方法5

睡眠/喫煙・カフェイン制限/薬剤チェック

  • 睡眠:自律神経のバランス維持のために重要。寝不足や不規則な生活は副交感神経の働きを弱める可能性
  • 喫煙・カフェイン:喫煙やカフェイン飲料は唾液を乾燥させやすいため、控えめに
  • 薬剤:鎮静剤、抗ヒスタミン、利尿剤などは唾液分泌を抑える副作用があるため、服用中の人は医師と相談を
👉 実践ポイント

生活習慣を見直すことで、唾液の”出やすさ”の基盤を整えます。

スメル君
🍃 スメル君
博士〜!それって、どのくらいの期間や頻度でやれば”唾液が増えた”と感じられますか?
匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
研究によると、無糖ガムなどを1日数回、数分〜十数分噛む習慣で唾液量の改善が見られた人が多いよ。特に、唾液量がもともと少なめの人で顕著だった。ただし、ガムだけに頼るのではなく、水分補給、自律神経の安定、生活習慣の改善を含めた”総合アプローチ”が重要。クセになりすぎず、無理せずに続けるのがコツだ。

唾液ケア習慣を始めよう

まとめ

唾液は”ただで出る自然な液体”ではなく、体と生活習慣が大きく関わる”生きた体液”です。

  • ガムを噛む
  • 水を飲む
  • リラックス
  • よく噛む
  • 生活習慣を整える

これらを無理なく組み合わせることで、唾液の分泌を保ち、口腔環境・全身の健康を守る — そんな”唾液ケア習慣”を始めてみましょう。

匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
唾液は、あなたの体がくれる”天然の守り”だ。無理せず、毎日の習慣で大切にしよう。
スメル君
🍃 スメル君
よーし!今日から無糖ガムに、水分補給に、ゆったり生活!博士ありがとう〜!

次に読むと理解が深まる記事

匂崎博士
👨‍🔬 匂崎博士
唾液を増やす方法、理解が深まりましたか?日々の小さな習慣が大きな変化を生みます。

📚 参考文献・引用データ

この記事の執筆にあたり、以下の科学的知見を参照しております。

🦷 ガムと唾液分泌

Karami-Nogourani, M., et al. (2011). “The effect of chewing gum’s flavor on salivary flow rate and pH”. PMC.

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3556288/

💧 ドライマウスとガム

Dodds, M.W.J., et al. (2023). “The effect of gum chewing on xerostomia and salivary flow in elderly and medically compromised people”. BMC Oral Health.

https://bmcoralhealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12903-023-03084-x

📊 咀嚼と唾液流量

Dawes, C. (2004). “The effects of prolonged gum chewing on salivary flow rate and composition”. Archives of Oral Biology.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003996904000445

🏥 ドライマウス管理

Johns Hopkins Sjögren’s Center. “Management of Dry Mouth”.

https://www.hopkinssjogrens.org/disease-information/treatment/management-of-dry-mouth/

🔬 自律神経と唾液

旭川医科大学. “ドライマウスの実際と対策”.

https://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/healthy/jsce/jjce24_2_85.pdf

📖 唾液と口腔機能

“唾液と口腔機能の関わり”. 日本静脈経腸栄養学会雑誌. J-STAGE.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/31/2/31_675/_pdf