日本人の“清潔文化”の歴史|神道・江戸社会がつくったニオイ観をやさしく解説
日本では、こんな光景をよく目にします。
- 少し汗をかいただけで「におってないかな?」と心配する
- 柔軟剤や香水の香りが強いだけで議論になる
- “スメハラ”という言葉が社会問題として扱われる
世界的に見ると、ここまで「ニオイ」を気にする国はほとんどありません。では、なぜ日本人は“ここまで清潔を大切にする民族”になったのでしょうか?
今日も匂崎博士とスメル君が、”日本人の清潔文化”という深いテーマを、やさしく楽しく解き明かしていきます。
① 神道──”穢れ”を祓い、清める文化
「禊(みそぎ)」の文化
水で清める習慣
- 海や川、滝で身体を清める
- 水で汚れや邪気を流すという発想
- この”体を清める行為”はニオイにもつながる
古代からの価値観
古代の文献でも、“身体の清涼さ=心の清らかさ”という考え方が記録されています。
これが”日本人のニオイ嫌い”の原点になった
② 江戸時代──世界でも珍しい「風呂社会」
なんと、庶民まで”毎日の入浴習慣”
驚異の入浴文化
海外の歴史資料では、江戸の町人の多くが週数回〜毎日の入浴をしていたと報告されています。
下水システムが整い、街が清潔だった
江戸の衛生環境
- 汚物管理が徹底
- 町の掃除は共同で実施
- 悪臭を出すことが”迷惑行為”とされた
これらの習慣により、江戸は世界有数の”無臭都市”と称されていました。
香りの文化「香道」の発展
繊細な香り文化
上流階級では、”香りを聞く(きく)”という高度な文化が発展。これが”ニオイを繊細に感じ取る感性”を育てました。
日本人の「香りを楽しみ、悪臭を嫌う」感覚はここでさらに磨かれたわけです。
日本の清潔文化を支えた2つの柱
清潔文化のルーツ
ここまでを見ると、日本の清潔文化は:
① 神道
ニオイ=穢れという価値観
② 江戸
日常的な入浴文化と無臭の都市環境
この2つによって、“キレイであることが当たり前の社会”として発展してきました。
その結果、現代の”無臭志向”や”ニオイへの敏感さ”につながっています。
この時代にニオイと上手に付き合う方法
① 自分のニオイは”悪”ではないと知る
ニオイは自然なもの
歴史的背景から、日本ではニオイ=悪になりがち。でも、ニオイは身体のサインであり、存在自体は自然なものです。
② “洗いすぎ”より”整えるケア”を
現代のケア方法
江戸とは違い、現代は石けん・シャンプーが強力。洗いすぎると、肌の菌バランスが崩れて逆に体臭が強くなる研究があります。
③ ニオイ感覚には個人差があることを知る
多様な感覚
ある人には”いい香り”でも、別の人には”強すぎる”ことがあります。
これがニオイの面白さでもあり、むずかしさでもあります。
清潔文化とやさしく向き合う
ニオイと上手に付き合うためには、
この文化を知りながら、
完璧さを求めすぎず、やさしく向き合うこと
が大切です
次に読むと理解が深まる記事
📚 参考文献・引用データ
この記事の執筆にあたり、以下の科学的知見を参照しております。
📚 江戸の公衆衛生・生活史
Hanley, Susan B. “Everyday Things in Premodern Japan”
https://www.jstor.org/stable/2659093