ストレス、緊張、疲労…これらが「ニオイの成分」を変えることは、すでに科学的に確認されている現象です。
近年注目されているのが「皮膚ガス」。皮膚からは汗だけでなく、分子レベルの揮発性成分(VOCs)が常に放出されているという研究が進んでいます。
この記事では、ストレス臭・疲労臭・皮膚ガス・VOCs(揮発性有機化合物)の関係を、最新研究に基づいて深掘りします。
そもそも「ストレス臭」「疲労臭」とは何か?
精神的な緊張・不安・怒りなどによって汗の成分が変化し、皮膚常在菌が作るニオイが変わる現象。
緊張した場面で”ツンとしたニオイ””酸っぱいニオイ”を感じやすいのはこれ。
■ 疲労臭身体的な疲労・睡眠不足・慢性ストレスによって皮脂の酸化・アンモニア系のニオイが増える現象。
「疲れている日の独特のニオイ」として経験する人が多い。
■ 皮膚ガス(skin gas)汗ではなく皮膚そのものから放出される揮発性成分(VOCs)の総称。
体内代謝の変化 → 皮膚から分子が揮発 → ニオイとして検出される。医学界でも注目の研究領域。
ストレスで汗の成分が変わる──ニオイの”始まり”はここから
通常の汗 vs ストレス汗
普通の汗(エクリン腺)は:
- ほぼ水
- 少量のミネラル
ストレス汗に含まれる成分
- タンパク質
- 脂質
- 乳酸
- 糖類
- アンモニウム
これらが多く含まれ、常在菌が分解したとき強いニオイ物質を作りやすいのです。
最新研究:皮膚ガス(Skin gas)から分かってきたこと
発見されている主な皮膚ガス成分
- ジメチルスルフィド(硫黄系臭)
- アセトン(甘い・酸っぱい)
- イソプレノイド(植物のような匂い)
- アンモニア(疲労臭代表)
- 短鎖脂肪酸(すっぱい系)
これらは汗とは無関係に「皮膚そのもの」から放出されるのが特徴です。
ストレス臭の核心:ジメチルスルフィド(DMS)仮説
ジメチルスルフィド(DMS)の特徴
ストレス臭で最も注目されているのがジメチルスルフィド(DMS)。
特徴:
• 極めて微量でも臭う
• ニオイの種類は”硫黄系・玉ねぎ系”
• ストレスで上昇することが複数の研究で示唆されている
顔・首・背中など、皮脂量の多い場所で増えやすい。
「緊張したときの独特の”ツン”とした匂い」という読者の体験は、
DMSの特徴と合致します
疲労臭の正体:アンモニア × 酸化皮脂の複合作用
疲労時の体内変化
身体が疲労すると:
- 筋肉の分解
- アミノ酸の代謝
- 肝機能の低下
などが進み、アンモニアを分解しきれず皮膚から揮発します。
疲労臭の構成要素
さらに疲労時は皮脂の酸化が進むため:
- アンモニア臭
- 皮脂酸化臭
の混ざった“複合臭”になるのが特徴。
ストレス臭・疲労臭は”誰にでも起こる”正常な反応
体臭は身体からのメッセージ
体臭は「不潔」ではなく、
身体と脳の働きの現れにすぎません。
安心してください。
自分でできるストレス臭・疲労臭対策(科学ベース)
① 湿度・蒸れ対策(菌の暴走を抑える)
蒸れ対策
ストレス汗は蒸れやすい。とくに脇・背中・首は注意。
- 速乾インナー
- こまめな拭き取り
- 通気性の良い服
② 抗酸化ケア(皮脂酸化を抑える)
酸化対策
疲労臭の中心は「酸化」。
- ビタミンC
- ポリフェノール
- 睡眠
- 適度な運動
③ 休息と睡眠(皮膚ガスに最も効く)
最強の対策
皮膚ガスは代謝 × 自律神経 × 内臓の働きを反映します。
つまり最強の対策は…
- 休むこと
- 寝ること
- 無理をしないこと
次に読むと理解が深まる記事
📚 参考文献・引用データ
この記事の執筆にあたり、以下の科学的知見を参照しております。
🧪 情動・ストレスと体臭の変化
Smeets, M. A. M., et al. (2020). “Chemical Fingerprints of Emotional Body Odor”.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7142800/😨 恐怖状態の体臭VOCs
de Groot, J. H. B., et al. (2023). “Unraveling the Universality of Chemical Fear Communication”.
https://academic.oup.com/chemse/article/doi/10.1093/chemse/bjad046/7379646💨 皮膚ガスと代謝状態
関根嘉香・木村桂大ほか (2017). “What does human skin gas analysis work for?”
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/48/6/48_410/_article/-char/ja/🔬 皮膚ガス成分のGC/MS測定
久永真央ほか (2011). “Determination of Volatile Organic Compounds in Human Skin Gas by GC/MS”.
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001204660418688🌡️ 皮膚表面から揮発する微量成分
関根嘉香 (2016). “Trace biogas emanating from human skin surface”.
https://i.kawasaki-m.ac.jp/jsce/jjce25_2_69.pdf📊 皮膚ガスの生体情報活用
関根嘉香 (2025). “Utilization of Human Skin Gas as Biological Information”.
https://jcss.jp/journal/pdf/4901/49-1_15.pdf💪 疲労臭とアンモニア測定デバイス
Ikeda, S., et al. “Development of a wristband-type wearable device for the detection of human skin ammonia gas emission”.
https://cir.nii.ac.jp/crid/1522266331120209280📰 疲労臭と皮膚ガス(一般向け解説)
Mainichi / 毎日新聞 科学記事 “Body odor is caused by ‘skin gas,’ can be reduced…”
https://mainichi.jp/english/articles/20201003/p2a/00m/0na/014000c