体臭=不潔というイメージがよくありますが、実はまったく逆。
体臭は身体の仕組みが正常に働いている証拠。常在菌は”敵”ではなく、私たちを守るパートナーなのです。
今回は「皮膚常在菌 × 汗 × 皮脂」がどのように体臭を生み出すのか、科学的に深く解説します。
皮膚常在菌とは何か?──人間と共生する”肌の住民たち”
(マイクロバイオーム)
主な皮膚常在菌
- 表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)
- アクネ菌(Cutibacterium acnes)
- コリネバクテリウム属(Corynebacterium)
- マラセチア(Malassezia)
常在菌の重要な働き
- 外部の雑菌の侵入を防ぐ
- 皮脂を分解し、皮膚のpHを整える
- 乾燥から守る
- バリア機能の維持を助ける
常在菌は「皮膚の治安維持部隊」
存在そのものが健康に必要不可欠
では、なぜ常在菌が体臭をつくるのか?
常在菌が生み出すニオイ物質
常在菌は、汗や皮脂を分解するときに、以下を発生させます:
- 脂肪酸(酸っぱいニオイ)
- アンモニア(ツンとするニオイ)
- 有機酸(蒸れたようなニオイ)
これが体臭の中心です。
表皮ブドウ球菌:肌を守る「良い菌」、でも体臭の一部も担当
表皮ブドウ球菌の特徴
表皮ブドウ球菌は”善玉菌”として有名。
- 肌の水分を保つ
- 外敵菌から守る
- 弱酸性を維持する
しかし、皮脂を分解する過程で脂肪酸(酸っぱいニオイ)を作ります。
アクネ菌:毛穴で働く”皮脂好き”の住民
アクネ菌の特徴
アクネ菌は、毛穴の奥に多く存在する菌。
- 皮脂を好み
- 無酸素状態に強く
- 脂質を分解してニオイの元をつくる
特に顔や頭皮の”皮脂臭”に関わります。
コリネバクテリウム:汗臭の主犯格
コリネバクテリウムの特徴
脇のニオイ(ワキガ)にも深く関わる菌。
- アポクリン腺の汗に含まれる蛋白質・脂質・糖を分解
- 特有の強いニオイ物質(短鎖脂肪酸など)を生成
生活習慣が常在菌の働きを変える(=ニオイが変わる)
① 皮脂量の変動(食事・ホルモン)
皮脂量に影響する要因
皮脂=菌のエサなので、皮脂量が変わると菌の活動が変動します。
- 脂っこい食事
- 睡眠不足
- ストレス
- ホルモンバランス
これらで皮脂量は簡単に変化します。
② 湿度・温度(菌の繁殖パワーが急上昇)
菌が好む環境
菌は湿り気を好みます。
- 梅雨〜夏
- 蒸れた服
- 通気性の悪いインナー
これらは菌が「大好き」な環境。結果、ニオイも上昇。
③ 洗いすぎ(意外にも体臭悪化要因)
洗いすぎの悪影響
殺菌石鹸で”良い菌”まで減ると:
- 肌のpHが不安定
- バリア機能が低下
- 悪い菌が増えやすくなる
つまり洗いすぎるほど体臭が悪化しやすい。
体臭を”コントロール”するカギは「菌バランス」
① 洗いすぎない(弱酸性×やさしい洗浄)
正しい洗浄方法
- 強い殺菌剤は避ける
- ゴシゴシ洗いをしない
- ぬるま湯で優しく洗う
② 湿度対策(蒸れの時間を短くする)
蒸れ対策
- インナーをこまめに着替える
- 速乾性の高い素材を着る
- 濡れタオルで拭く
③ 菌が”好きすぎる”環境を作らない
菌バランスを整える生活習慣
- 皮脂ゾーンは重点ケア
- ぴったりしすぎる服を避ける
- 乾燥と蒸れの両極端を避ける
次に読むと理解が深まる記事
📚 参考文献・引用データ
この記事の執筆にあたり、以下の科学的知見を参照しております。
🦠 皮膚マイクロバイオームと体臭
Byrd, A. L., Belkaid, Y., & Segre, J. A. (2018). “The human skin microbiome”. Nature Reviews Microbiology, 16(3), 143-155.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29332945/🧬 皮膚常在菌の機能
Sfriso, R., et al. (2020). “Revealing the secret life of skin – with the microbiome you never walk alone”. International Journal of Cosmetic Science, 42(2), 116-126.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7998121/👃 嗅覚のメカニズム
公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)「嗅覚の仕組み」
https://www.aromakankyo.or.jp/basics/introduction/mechanism/